「行く」と「来る」は動詞と一緒になると補助動詞にもなります。
この補助動詞の場合、漢字は使わず「〜ていく」「〜てくる」とひらがなで書きます。
「新しい服を着ていく」と「新しい服を着てくる」は同じですか?
じゃあ、今回は補助動詞「ていく」「てくる」について解説します!
「ていく」と「てくる」の用法
用法は2つあります。
その動作が、どちらからどちらにいくかということですね。
今を基準にして、過去から今か、今から未来か、ということですね。
①の用法にしても②の用法にしても、「ていく」「てくる」は2つの関係を表す上で重要な役割を果たします。
(移動の方向性)「歩く」「泳ぐ」「走る」「飛ぶ」に接続する場合
「歩く」「泳ぐ」「走る」「飛ぶ」に「ていく」「てくる」が接続すると移動の方向性を意味します。
「〜ていく」は近くから遠くへ向かうという意味です。
「〜てくる」は遠くから近くへ向かうという意味です。
では例文を紹介します。
例文1 その飛行機は西から飛んできて、東に消えていった。
例文2 M君は忘れ物を取りに学校へ走ってきた。そして忘れ物を取るとアルバイト先へ走っていった。
(移動の方向性)「着る」「はく」「かける」に接続する場合
「着る」「(靴を)はく」「(メガネを)かける」などのような身に付ける動詞に「ていく」「てくる」が接続されることも多いです。その場合、身に付けた状態を伴って移動することを意味します。
では例文を紹介します。
例文1 デートにこの間買った服を着ていった。
例文2 夏は海へサングラスをかけていきます。
(移動の方向性)「食べる」「買う」などの一般的な動詞に接続する場合
「食べる」「買う」などの一般的な動詞に「ていく」「てくる」が接続すると、その動詞のあとに移動することを意味します。
では、例文を紹介します。
例文1 友達のうちへ行くときに、お菓子とジュースを買っていった。
例文2 コンサートの前に、ごはんを食べてきた。
(移動の方向性)「送る」「届ける」「書く」「かける」に接続する場合
「荷物を送る/届ける」「手紙を書く」「電話をかける」などの対象を移動させる動詞はそれだけでは方向がわかりません。それらの動詞に「てくる」に接続すると、方向がはっきりと分かります。
この場合は「てくる」しか使いません。
では、例文を紹介します。
例文1 母が荷物を送ってきた。
例文2 その友達はいつも夜中に電話をかけてくる。
時間的推移を表す場合
過去から今に向かってしてきたことは「〜てきた」と言います。
今から未来に向かってすることは「〜ていく」と言います。
では、例文を紹介します。
例文1 私は2年日本語を勉強してきた。
例文2 私はこれから日本語力の向上に努力していく。
「においがする」「見える」「聞こえる」に接続する場合
「においがする」「見える」「聞こえる」に接続する場合、「やってくる」というイメージを与えます。遠くから自分の近くに来るという意味です。
この場合は「てくる」しか使いません。
では、例文を紹介します。
例文1 レストランの前を通ると、いいにおいがしてきた。
例文2 鳥の声が聞こえてきた。
「ていく」「てくる」は動詞とセットになっていろいろな情報を与える大切な言い方です。今回は、補助動詞「ていく」「てくる」について解説しました。
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コメント
ていく、てくるの図がとてもわかりやすいです。
いろんなサイトを見て勉強中ですが混乱してきたので質問させてください。
人口がどんどん増えていく。
だんだん寒くなってきましたね。
だんだんわかってきた。
などの変化について書かれていなかったのですが、
これは時間的推移と同じ分類と考えていいでしょうか?
コメントありがとうございます。
励みになります!
人口がどんどん増えていく。
だんだん寒くなってきましたね。
だんだんわかってきた。
これらはおっしゃるとおり「時間的推移」です。
過去から現在に至るのか、現在から未来へ続いていくのかで使い分けている例文だと考えます。
お返事が遅くなり、すみませんでした。