前回「とともに」「にしたがって」「につれて」「に伴って」について説明しました。
その時に下の板書のように説明しました。
コトリ先生、「とともに」「に伴って」には同じ『同時に起きる』の意味があるんですね。この「前後の因果関係」って何ですか?
今回は、『同時に起きる』という意味を持つ「とともに」と「に伴って」の使い分けについて解説します。
前後が並列関係の「とともに」
「とともに」には3つの意味があります。それぞれの用法は、以前解説しました。
その中の1つに「同時に」の意味があります。
意味:〜であると同時に
接続:V辞書形/い形ーい/な形ーである/Nーである+とともに
Cさんは日本へ来た時どんな気持ちでしたか?
とても嬉しかったです。
それだけですか?
いいえ、家族と離れてさびしかったです。
Cさんの気持ちのように、同時に2つのものがある場合、「日本の空港に着いた時、やっと日本へ来られて嬉しいとともに家族と離れてさびしい気持ちでした。」ということができます。他の例文も下に挙げます。
例文:
このウイルスの治療薬の開発は、困難であるとともに、費用がかかります。
コトリ先生は、学生を指導するとともに、日本語教育の研究にも力を入れてます。
タバコの吸いすぎは、お金がかかるとともに、体に悪いです。
「とともに」の前後を見てください。これは2つの出来事が同時に起きてるだけで、両方の関係は並列関係です。どちらも原因や結果にはなりません。
前後が因果関係の「に伴って」
意味:〜と一緒に(同時に起きる)
接続:N+に伴って
※「Nに伴ってV」「Nに伴うN」
地震が起きました。それと同時に火事が起きました。地震に伴って火事が起きました。
他の例文も下に挙げます。
例文:
自由にはそれに伴う責任があります。
会社の倒産に伴い、社員全員が失業しました。
結婚に伴い、会社を辞めました。
「に伴って」の前後を見てください。この2つの出来事には因果関係があります。「に伴って」の前にあることが『原因』で、後ろのことが『結果』として同時に起きたという関係です。
「とともに」「に伴って」の違い
「とともに」と「に伴って」の違いはその前後の言葉の関係です。
前後の言葉がそれぞれ関係なく並列関係にある場合「とともに」、前後の言葉が原因と結果の因果関係にある場合「に伴って」を使います。
どちらも「同時」の意味ですが、同じように使うのは間違いです。
気をつけましょう!
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